夫婦で福島県の土湯温泉に行ったときの旅館が、とても印象に残っています。
私たちは午後3時にはもう旅館に到着し、さっそくお部屋に案内されました。
そこで仲居さんがお風呂について説明をしてくださいました。
「当館では、貸切風呂も無料でご利用になれますので、どうぞ行ってみてください。
入り口のところに木の札がかかっていますので、それをひっくり返して『使用中』の文字を表に出しといてくれればそれで、
貸切になりますので。お風呂から上がったら今度は、札をひっくり返して文字を隠しておいてくださいね。
何度でもご利用いただけますよ」
とのことでした。
私たちにとってはちょっとうれしい驚きでした。
宿泊の予約サイトを見てその旅館に決めたのですが、そこには『貸し切り風呂あり』とだけしか書いてありませんでした。
予約もいらず、しかも無料で何度でも使っていいなんて、こんな気楽で得した気分にさせてもらえるなんてなんだか心からくつろげるおもてなしだなと感じました。
さっそく貸し切り風呂に入りました。
広くはありませんでしたが、木の香りのする脱衣所は清潔感もあり、お風呂も気持ちよかったです。
お夕飯も豪勢で、とても品数が多く、美味しいご馳走でした。
私があまりの多さにに食べきれずにいたら、
「ご飯はおにぎりにしてこちらにまたお持ちしておきますね。メロンはラップをかけておきますので、そのまま冷蔵庫で冷やして置いたらいいですよ。後で小腹が減ったらいただいてくださいね。」
と言って、メロンにラップをかけておいていってくださいました。
おにぎりも、お布団の用意をするときに、持ってきてくださいました。
とてもシンプルに、されてうれしいことを、手間を惜しまずしてくれる。
それがとても贅沢に思えました。
普段の生活では、細かいルールに合わせることを優先するあまりに、一人一人の幸福が無視されがちですが、こちらの旅館では、ルールよりも一人一人の幸福を考えてくれているように思えました。
おかげでとても素敵な旅になりました。